How to 健康
コエンザイムQ10・レシチン・セレン・トリプトファン
■コエンザイムQ10
歴史
1957年:米国ウィスコンシンン大学のフレデリック・クレイン教授のグループが牛の心筋のミトコンドリアから橙黄色の結晶を単離し「CoQ10」と命名しました。
1950年代:英国リバプール大のR・A・モートン氏らがビタミンA欠乏ラットの肝臓から新規のキノン化合物を見出して「ユビキノン」と命名。その後、CoQ10とユビキノンが同一のものと分かりました。
1974年:日本で心筋代謝改善薬(ユビデカレノン)として製造承認されました。
適応
心臓へのリスクの低下と活性化、免疫力強化、エネルギー生産、抗アレルギーうっ血性心不全、血圧調整、血糖値の低下、認知症予防,etc。
特徴
体内でも合成、されている補酵素の一種で、人間の心臓・肝臓・腎臓に多く含まれています。
主に心臓からのポンプ機能を高め血液循環を促進し、筋肉にエネルギーを供給して持久力や運動能力を高めます。
CoQ10は加齢とともに合成量が減ってエネルギー不足になる傾向があります。
とくに心臓は毎日10万回もの収縮を繰り返すため、多くのエネルギーが必要でCoQ10が不足すると心筋の働きが弱まってしまうので継続的な補給が重要です。
※目安量
※100g~150g/1日まで
■レシチン
歴史
アメリカで、ビタミンに続いて抗酸化物とともにサプリメントでブームを巻き起こしました。
日本へは20年ほど前に上陸しています。
適応
各細胞への栄養補給。
コレステロール値低下、動脈硬化性疾患を予防、胆石を予防、老化を予防、記憶力増大、自律神経失調症、不眠症、神経衰弱、精力減退などの防止・回復、皮膚疾患(シミ、ソバカス)の予防、肥満や妊娠中毒症の予防、高血圧、心臓病、肝臓病、糖尿病、血栓症、貧血症、腎臓病、不妊症などの予防。
特徴
レシチンは、その化学名を「ホスファジルコリン」といい、コリンの基となる物質です。
一人の人間が持っている細胞の数は約60兆。その細胞の一つ一つの細胞には必ず「レシチン」が含まれており、全部のレシチンの量は、体重60Kgの人で600g程度あります。「レシチン」の一番大きな役割は「界面活性剤」としての働きです。つまりレシチンは「親油性」(油になじむこと)の働きと、「親水性」(水になじむこと)の働きの両面の役割を持っています。そのためレシチンの親油性の働きが、血管の内壁にこびりついたコレステロールを溶けやすくしたり、細胞の中の老廃物を親油性と親水性の両方の働きにより、血液の中に溶かし込んで血行をよくしたりします。
いわば、天然の「乳化作用」の役割をするのです。このため、レシチンは細胞の重要な構成成分であるといわれるわけです。このようにレシチンには界面活性剤としての作用や、生命維持のための基礎的な働きがあるため、様々な効果が期待されています。人間も含めて、生物は細胞からできていることはよく知られていますが、細胞が細胞膜を通じて物質を取り入れたり、排泄したりできるのもレシチンがあるからなのです。
レシチンを構成する必須不飽和脂肪酸、イノシトール、コリン等は動脈硬化や肝硬変の予防に役立ち、新陳代謝を促進する機能があるので、体の構成単位である「細胞」から老廃物を排泄させて、若さを保つ作用が重要視されています。
※含有する食品:大豆、豚レバー、卵 etc
※大豆や卵黄に含まれるリン脂質の一種。
食生活の欧米化に伴い油分の多い食事をとる機会が増えてきています。
外食の多い方、油分の多い食事を好まれる方にはおすすめです。
■セレン(セレニウム)
歴史
中国の風土病である克山病やカシンーベック病と呼ばれる子供の病気で重要性が明らかになりました。この地域の住民は、毛髪や血液中のセレニウム含有量やグルタチオンペルオキシターゼの活性が低かったのです。
適応
抗酸化、抗老化、更年期、動脈硬化予防
特徴
セレンはグルタチオンペルオキシターゼとしての抗酸化作用だけでなく、別の形での抗酸化作用もあることが実験で明らかにされ、また抗炎症性、免疫促進、制ガン性などの生理作用もあることがわかり今後、ますます重要性が増してくるものと思われます。セレニウムの摂取量は、土壌中の量と関連しておりニュージーランドやフインランドではセレン摂取量が足りないといわれています。土壌中セレニウムの量の足りない地域は世界的に見て、ガンの発生率が高いことが証明されています。アメリカの科学アカデミーの栄養素委員会では、1日の摂取所要量(RDA:栄養所要量)を成人男子が70マイクログラム/日、成人女性が55マイクログラム/日と定めています。アメリカでは1982年FDAの調べで、平均108マイクログラム/日摂取しているというデーターがあります。
日本では残念ながらデーターは見つかりません。セレンを多く含む食品はですが、日本の伝統的な魚介類や米などの食事を続けている人であれば欠乏することはないといわれています。しかしながら、現代人の食生活は大幅に変貌し、外食しがちの人や、加工食品、レトルト・インスタント食品を多く採っている人は要注意です。
※注意事項
通常1日100~200マイクログラム摂取しますが、1日1000マイクログラムを摂ると毒性が出てくると言われています。
※含有食品:イワシ・サクラエビ・ウニ・タラコなどの魚介類や米など
■トリプトファン
歴史
トリプトファンは食品から摂取しなければならない必須アミノ酸の1つで、牛乳から発見されたアミノ酸です。
適応
鎮痛、催眠、精神安定などの作用がある神経伝達物質、偏頭痛の緩和、不安・緊張の緩和、アルコール中毒の抑制、更年期症状の緩和、etc
特徴
9種の必須アミノ酸のひとつで、さまざまな食品かのタンパク質に含まれますが量は多くありません。
タンパク質生合成の材料として使われる分を除いて、肝臓、腎臓で分解されエネルギー源として利用されます。
摂取されたトリプトファンは脳に運ばれ、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムとともに、セロトニンをつくります。セロトニンは、鎮痛、催眠、精神安定などの作用のある神経伝達物質です。
脳のトリプトファンの濃度が高まればセロトニンが増えて効果が期待できるため、天然の睡眠剤として人気があります。鎮静剤として効果を証明する実験結果は、アメリカのテンプル大学健康化学センターで、慢性的な痛みをもつ患者のグループに投与して、セロトニンの濃度を高めたところ痛みが軽減しただけでなく、歯に痛みが加えられたときの耐性も強くなったといわれています。またある種のうつ病はセロトニン濃度異常と関係するといわれますし、セロトニンは腸管の運動を促進するホルモンでもあります。脳の松果体でセロトニンはメラトニンとしてなります。メラトニンは松果体から分泌されるホルモンで、「驚異の若返り薬」として話題を呼びました。
天然の睡眠薬で時差ぼけに効果があり、加齢を遅らせることができるとされています。その他、免疫系に働きかけがん予防、心臓病、コレステロールや血圧をコントロールする、更年期障害の症状の緩和、アルツハイマーやパーキンソン病、エイズまで幅広い症状の改善にきわめて希望がもてるという研究結果も報告されています。
他にも脳に刺激を与える伝達物質であるドーパミンやノルエピネフリン(ノンアドレニン)をつくる際にも、チロシンといっしょになってはたらき、臨床例や実験の結果から、脳や行動障害の治療に役立つことがわかっていて、うつ病や不眠症の治療に利用しようと研究が進んでいます。
※禁忌事項
・サプリメントでの摂取の際には、MAO阻害薬や抗うつ剤との併用(セントジョーンズワートも含む)はしないこと。
・妊娠中・授乳中の方の使用使用は避けてください。
※含有食品:チェダーチーズ、バナナ、卵黄、落花生